. 元妻と別れたのはもう20年も昔の事だった。. 上の子が小学生になり、PTAの役員をしていた元妻は、同じPTA役員にいた高校時代の同級生で卒業後に付き合っていた元彼と再会、不倫して妊娠、中絶した。.
元妻は元彼との再会に再び燃え盛り、欲情の炎に巻かれ、婚外姦淫の熱に蕩けて堕ちたのだ。. 元妻は元彼と、妊娠覚悟の乱倫性交で膣内淫射を繰り返し、快楽の飛沫を噴きあげたのだ。. 元妻とその元彼は、離婚届を残して家族を捨てて駆け落ちしたのが20年前だった。. その後、元妻の元彼の奥さんと俺は、慰謝料などの請求で結託し、協力しているうちにとても親しくなった。. 奥さんは、スレンダーで美人系の元妻と違って、ムッチリ体形でホンワカした可愛い女性で、慰謝料問題が解決したあと、男女の関係になったのが、俺37歳、奥さん32歳の時だった。. お互い連れ合いに裏切られた者同士、傷を舐め合うように癒した。. ムッチリした女体は至福の肉布団、柔らかな肉欲に囚われて、元他人妻の艶香に噎せ返りながら情事に没頭した。. 久しぶりの女体に夢中でまぐわい、恍惚の夢を恵んだ。. 俺38歳、奥さん33歳で再婚、いきなり5人家族になったが、間もなく6人家族になった。. 俺の家の方が敷地が広かったから、妻の家を売り払い、俺の家を増築して、家族6人で賑やかに過ごした。. 妻は顔だけでなく仕草も性格も可愛いが、やや天然なところがあった。. しっかり者の元妻とは、だいぶ違う女だったが、それがあの頃の俺を癒した。. 元妻と再会したのは3年前、俺53歳、元妻51歳の時だった。. 取引先の課長に連れられて、滅多に行かない駅西口の飲み屋街へ行き、「南十字星」というスナックに行ったら、そこのママが元妻だった。. 目が合って、お互い「あっ!」と思ったが、知らんぷりをした。. 一緒に行った取引先の課長が、元妻のママに向かって、. 「勤子ママ、いつもの二つね。」. と言った。. 元妻はここでは「勤子」という源氏名を使っていることが窺い知れた。. 俺は数日後、まだ日が落ちてすぐのスナック「南十字星」へ行ってみた。. 案の定、客は俺一人だった。. 「いらっしゃい・・・賢二さん・・・その節は・・・」. 「こんなに近くにいたとはな。いつ、舞い戻ったんだ?」. 「もう、8年になります。9年前に、彼、亡くなったんです・・・苦労させて、私が死なせたようなものだから、元の奥さんや子供さんに悪いことしたと思ってます。」. 「その元の奥さん、今は俺の奥さんだよ。子供たちも仲良く育ったよ。心配するな、大丈夫だ。みんな幸せだ。」. 「そう・・・良かった・・・」. 1時間ほど飲んでいたら、客が来たので帰った。. 「ご馳走さま・・・」. 「ありがとうございました。あら~いらっしゃい・・・」. 元妻が客を迎える声を背に、店を出た。. 俺の行きつけは駅の東口の飲み屋街だったし、俺も妻も子供たちも幸せに暮らしていることを伝えたから、あれからスナック「南十字星」には行ったことは無かった。. 元妻の事もすっかり忘れかけていた先週、仕事先から戻り、駅の西口でタクシーを降りたら駅前に救急車とパトカーがいて人だかりになっていた。. 救急車はサイレンを鳴らさず引き返し、タンカに乗せられて警察車両に誰かが運ばれたが、お亡くなりになったのだろう。. 人だかりの脇を通り過ぎると、ロータリーに乗り上げた高級車と、パトカーに乗せられる高齢者が見えた。. ああ、また高齢者の踏み間違え事故で死者か・・・まったく・・・と思ったら、. 「あれ、南十字星のママさんだよな。」. 「ああ、南十字星の勤子さんだった。間違いないよ。マジかよ・・・勤子ママ、いい人だったのに・・・」. 頭をハンマーで殴られたような気がした。. 20年前に別れたとはいえ、一時期は愛した元妻だし、もう、成人したけれど子供たちにとっては産みの母親だ。. 子供たちを連れて、告別式に行った。. 元義父は亡くなったようで、年老いた元義母が喪主を務めていた。. 元義兄夫婦が俺達に気付き、小走りにやってきた。. 「これはこれは、わざわざあいつのために・・・」. と90度のお辞儀をした。. 「子供たちにとっては、実の母だから・・・」. 「まあ、こんなに立派になって・・・」. 式の最中、元妻との出会い、結婚生活を思い出していた。. 美人妻を自慢していたあの頃・・・なぜ元彼なんかと・・・. 帰り際、元義母がやってきて頭を下げた。. 「あの子も、自分の子供たちに送られて喜んでいると思います・・・あの子・・・駆け落ちしたあの男の人と、若い頃に結婚しようとしていたんです。まだ21歳同士でした・・・でも、お父さんに大反対されて・・・無理やり別れさせられて・・・ごめんなさい。だからってあんな仕打ちをしていいわけがないですよね。罰が当たったんですよ・・・二人とも・・・」. そうだったのか・・・元妻は、叶わなかった悲恋を叶えたんだ・・・. 俺は、空を見上げて、. 「あの世ではちゃんと添い遂げるんだぞ・・・」. と帰らぬ元妻に囁いた。. .
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